ムラヨシマサユキさんの『お菓子はもっとおいしく作れます!』主婦と生活社 2018年 95頁
「バタークッキーってリッチでとてもおいしいけれど、ちょっと重いかな」というイメージを変えてくれたのがこの本です。バターの溶かし具合や、生地への混ぜ込み方などのポイントをおさえれば、サクサクで軽やかな食感とバターの豊かな風味を楽しめるクッキーを作ることができました。
バターの固さ違いで「サクサク、カリカリッ」と
「ホロホロッ」の2つの食感に
本ではやわらかくしたバターを生地にしっかり混ぜこむ方法を『フラゼ(=粘りを出さず、均一に混ぜる方法 8頁)』と紹介していて、めざす食感はサクサク、カリカリッ。
そして冷たいバターを生地にすり混ぜる方法は『サブラージュ(=粉と油脂を手ですり混ぜ、粒子状にする方法 16頁)』と紹介。めざすのはホロホロッと口の中でほどける食感です。
どちらも作ってみたところ、やわらかいバターを使うフラゼで作ったクッキーは本当にサクサクに焼きあがりました。
一方、冷たいバターを使うサブラージュはホロホロッというよりは、ザクボロ気味になってしまいました…たぶん失敗…。でもバターの溶かし具合や混ぜ方で、食感がこんなに違うって驚きです。失敗バージョンも合わせて「理屈はわかったぞ!」という気持ちです。
なぜなぜ?どうして?工程や動作を行う理由をみっちり解説
生地づくり、カット、焼き上げ、そして焼きあがった後の処理まで、それぞれの工程に「なぜそうするのか?」ということが写真付きで丁寧に解説されています。
作業をする目的がきちんと理解できれば、ただレシピ通りに進めるだけではなく、ひとつひとつの作業のポイントがわかります。失敗例も写真付きで解説されていますよ。
本に掲載されている二次元バーコードを読み込めば、動画で手順を見ることができます。
形を変えたり、食材をプラスしたり、おいしさの幅が広がるアレンジも
クッキーの形を四角や丸型だけでなく棒状にして、見た目を変えればさらに違った表情になること。
またアイシングやナッツ、きな粉やごまなどの食材を加えることで、食感や味わいを変化させることができるなど、本には楽しくておいしいアレンジでクッキーの世界を広げるアイデアも紹介されています。写真は本のアレンジを真似て作ってみたクッキーです。
“バターを使うからこそ”のおいしさがわかったような…
バターを使ったお菓子は“濃厚リッチ”というイメージが強かったのですが、この本を読んで実際に作ってみると、上手にバターのおいしさを引き出す作り方なら、バターたっぷりだからこそ実現する、軽い食感のクッキーを作れることに納得です。
バターを使わないお菓子がひとつのジャンルとしても確立されているからこそ、本当においしいバタークッキーの味を知って、上手に作れるようなりたいと思いました。
この本のように丁寧に作り方をレクチャーしてくれると、他の本を見てお菓子を作る時にも「この作業はあの時のあれだな…」と応用できるので、自分のお菓子作りのバイブル的1冊となっています。