いろんなサブレと出会える本

下村昌江さんの『おいしいサブレの秘密』文化出版局 2020年 79頁

バターのテクスチャーを3つに分け、それぞれの状態で作ったサブレが紹介されているこの本。バターを使いこなすことで、いろいろなおいしさに出会えます。表紙には美しいサブレが整然と並べられていて、それぞれが存在感たっぷり!本の表紙に惹かれて思わず手に取ってパラパラした後、即買いしてしまいました。

クッキーとサブレの違いって?

諸説あるようですが、この本では『「サブレ」とはビスケット(またはクッキー)の一種で、材料の主役はバターと言っていいほど、バターの配合量が多い焼き菓子です』としてサブレが紹介されています。

おいしい焼き菓子で有名なツマガリさんのサイトをのぞいたところ、『サブレはクッキーのなかのひとつの種類であり、バターの風味が強くサクサクとした軽い食感が特徴』だとか。

手持ちの洋菓子辞典で調べてみると、サブレは『バターが豊富に入ったサクサクしたクッキー(白水社 [新]洋菓子辞典)』という説明でした。

バター使い”を極めるのがサブレのおいしさの決め手

本に掲載のレシピで、自分が食べたいなと思ったクッキー3種を作ってみました!

ポマード状のバターでつくるサクっと軽いプレッツェル

できあがった生地を粘土細工のようにくるくると紐状にのばして、両端をくるっと真ん中で交差させて成形するのですが…。手早くやらないと「くるくる伸ばす途中で切れる」「くるっとしたところが切れる」など、けっこう苦戦しました。

紐状に伸ばしたら即効で成形すると成功率が高い。生地をさわり過ぎないことと、スピード感が大切なのだなと…。でも形はともかく食感はサクっとして美味でした

粉にすり混ぜてサラサラにしたバターを使うロミアス

ロミアスというお菓子は、一般的にはサルタン口金という型を使ってつくるお菓子だそう。サルタン口金というのは、先端部分がギザギザになっていて、美しいラインの入ったドーナツ形に絞り出すことのできる口金です。

サルタン口金を使って生地をきれいに絞ったロミアスは、めっちゃエレガント!ただしサルタン口金は、お値段がちょっとお高め。使うのも少し難しいそうです。

でもこの本では手軽に手に入る菊型で作れるレシピになっています。初心者で不器用な自分にはぴったり!高価な道具の代わりに身近な道具に置き換えてアレンジしてくれるのもうれしいです。

こんなふうにビジュアルに変化のあるお菓子はできあがった時のうれしさも格別。やった感!あります。味もフィリングの甘さとバターの風味豊かな生地のバランスが絶妙でおいしかったです。

溶かしバターでつくる、とっても香ばしいアーモンドのチュイール

少し通っていたことのあるお菓子教室で習った時は、卵白だけを入れるレシピでチュイールを作ったことがありましたが、ここでは全卵を少しいれるレシピでした。その分、コクがあっておいしく、理想のサクガリッの食感に。

焼きたて、アツアツのうちに、めん棒の丸い面に沿わせて曲げていきます。手でさわれないくらいアツアツの間に進めないと、割れてしまうので急いで進めます。

くるんとかわいく曲がってくれました!チュイールは仏語で“瓦(かわら)”の意味だそう。

フォルムがとてもかわいいです。サクガリっと、噛み応えのある香ばしい食感に焼き上げる ことができました!若干コゲ気味でも気にせず、しっかりめ焼いたほうが良さそうです。

発酵バターがサブレをさらにおいしくしてくれる!

本で推奨されているのは“発酵バター” 。芳醇でコクのある味わいの発酵バターを使えば風味が格段にアップするそう。もちろん普通のバターでもOKとのことです。

本のレシピでバターの状態ごとに違うお菓子を作って食べ比べることで、食感の違いを実感できるのがとてもおもしろかったです。

またお菓子の名前やそのお菓子が生まれた土地や背景などのお話が書かれているところも魅力!次はどのサブレに挑戦しようかな。